■地域連携の中核業務に変革をもたらす
病院から診療所への逆紹介や返書業務は、いまなお紙と郵送が主流だ。紹介状を印刷し、封筒に入れ、宛名を書いて郵便ポストに投函する。こうした一連の作業は長年当たり前とされてきたが、医療現場の人手不足や経営環境の厳しさが深刻化する中、その非効率性がもはや看過できない。こうした状況に対し、AIとクラウド技術で解決策を提案するのが、Albatrus(三重県津市)の地域連携DXツールMedcloud(メドクラウド)「紹介状クラウド」だ。「DXによる攻めの逆紹介で、地域連携を加速させる」をコンセプトに掲げ、地域医療連携の中核業務に変革をもたらしている。
Medcloud「紹介状クラウド」は、病院からクリニックへの逆紹介と返書業務に特化する。郵送費や印刷費といった物理的コスト、事務作業に要する時間、情報伝達のタイムラグという三つの課題を同時に解消できる点が大きな特徴だ。
システムは厚生労働省・経済産業省・総務省が定める医療情報の取り扱いに関する「3省2ガイドライン」に準拠。AWSを基盤とした堅牢なクラウド環境に加え、通信の暗号化、電子署名、タイムスタンプを採用し、診療情報提供書の原本性を法的に担保している。これにより、医療機関の間で安全に情報のやりとりでき、受信側では紙原本の保管も不要に。紹介状と合わせて検査画像や検査結果を一括送信できる点も現場から評価が高い。
業務効率化を支えるのが、AIによる自動化機能だ。病院側が診療情報提供書をアップロードすると、AIが内容を解析し、連携先医療機関、患者名のイニシャル、診療科、担当医など、送信に必要な項目を自動で提案する。従来は手入力と確認に多くの時間を割いていた工程が大幅に圧縮され、現場負担の軽減につながっている。
患者体験の向上という点でも効果は大きい。紹介状をデジタル化し、LINEやSMSで患者に送付できるため、紛失や持参忘れといったリスクを解消。診察後に紹介状の印刷を待つ必要がなくなり、待ち時間の短縮にもつながっている。
■コスト削減だけでなく、加算の取得も
このサービスが生まれた背景には、Albatrus創業者でCEOの星野仙太氏の強い危機感がある。永井病院(三重県津市)の4代目として医療現場に身を置き、DX推進プロジェクトを指揮する中で直面したのが、逆紹介・返書業務の非効率性だった。

郵便料金の度重なる値上げ、「紙」であるがゆえに発生するさまざまなコスト、郵送業務のためだけに毎日4時間発生していた残業、そして配達に中1日以上かかることによる医療の質低下。これらを放置したままでは、地域医療は持続しない。こうした問題意識が、現場発のソリューションとして結実した。
導入効果は数字にも明確に表れている。永井病院では、逆紹介業務にかかる作業時間が1件当たりおよそ4分から1分へと短縮。郵送費・印刷費の削減に加え、電子的な情報共有によって「検査・画像情報提供加算(30点)」の算定も可能となり、コスト削減と収益改善を同時に実現している。
受信側の医療機関は費用負担なく利用でき、同様に加算を取得できる点も、地域連携への参加を後押しする要因となっている。
導入後のサポート体制も特徴的だ。Albatrusでは、専属担当者が「リーダー」「マネージャー」「コーチ」の三役を担い、設計から運用定着までを伴走する。紙とクラウドの二重運用から段階的に移行することで、現場の混乱を最小限に抑えながら成果を積み上げていく。
永井病院での成功を皮切りに、三重大学附属病院や松阪市民病院へと導入が広がった。地方総合病院発のDXが基幹病院を巻き込み、地域全体の医療連携を加速させるモデルケースとして注目を集めている。紙と郵送に縛られてきた逆紹介業務を解放するMedcloud「紹介状クラウド」は、地域医療の持続可能性を支える新たな基盤となりつつある。
▽株式会社Albatrus Medcloud「紹介状クラウド」
https://medcloud.albatrus.co/shokai
▽Medcloud「紹介状クラウド」説明動画
https://youtu.be/2BGQWTUXsqs
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