■電話着信のように鳴動し、見逃しを防ぐ
リード(群馬県前橋市)が提供する「FASTMessage」(ファストメッセージ)は、病院での緊急連絡や一斉通知を迅速かつ確実に行うためのコミュニケーションシステムだ。急患対応や患者の急変、緊急手術など、即時の判断と人員確保が日常的に求められる医療現場で、日常業務も含めた切れ目のない連絡体制を支える仕組みとして注目を集めている。
医療現場では長年、PHSが院内連絡の中核を担ってきた。個人にひもづかない共用端末として運用でき、電話として確実につながる点が評価されてきたが、公衆サービスの終了の流れを受け、各病院はスマートフォンへの移行を始めている。
スマートフォンは多機能で利便性が高い反面、「一般的なメッセージアプリでは通知に気付かれにくい」、また、よりパーソナルなデバイスのため共有し辛く「当直担当を調べて電話をかけるのが手間」といった課題も顕在化してきた。FASTMessageは、こうした移行期の現場で浮き彫りになった問題に正面から向き合い、「確実に届く連絡」を再構築する目的で開発された。
大きな特徴の1つが、メッセージでありながら電話着信のように鳴動する通知方式だ。診療中や移動中など、画面を確認できない状況でも音で注意喚起し、重要な連絡の見逃しを防ぐ。
複数の関係者に一斉通知を行い、対応可否をリアルタイムに把握できる点も強みだ。従来のように個別に電話をかけ続ける必要がなく、連絡係の負担軽減と迅速な初動対応につながる。一斉連絡後、その画面から個別に電話発信もできるなど、調整や確認を分断せずに行える設計も、現場での運用を意識した工夫といえる。
スマートフォンアプリに加え、PCやタブレットから操作できる管理用Webシステムを備えている点も特徴だ。ナースステーションや医局、事務室など、業務や役割に応じて発信手段を使い分けられる。テンプレート機能により、必要な項目を整理したメッセージを送信でき、伝え漏れや記載漏れを防ぐ仕組みも整えられている。日常業務でも、検査や処置の呼び出し、情報共有など幅広い用途で活用されており、例えば緊急カテーテル検査の際には、患者の状態や予定術式、同意書の有無などをテンプレートで一斉共有し、関係者が必要な情報を漏れなく、かつ即座に把握できるようにしている。
さらに、シフト情報と連動した電話帳機能により、その日の当直者や担当者を迷わず把握できるほか、ビーコンシステムと連携することで発信場所を自動で共有することもできる。敷地が広い病院内では発生場所の特定が初動対応の速さに直結するだけに、位置情報の共有は現場対応を支える要素となっている。
導入後のサポート体制も自社開発・自社提供ならではの強みを生かす。仕様や設計思想を理解した担当者が、操作説明や初期設定、運用相談、既存システムとの併用に関する助言、アドオン開発まで一貫して対応。必要に応じて訪問説明や説明会も実施し、導入時の負担軽減を図っている。
■現場のシフト変更も即座に反映
大阪けいさつ病院(大阪市天王寺区)は、新病院の開院を機に進める「スマートホスピタル構想」の中でFASTMessageを採用。全職員に配布したiPhoneへ導入し、日常業務から緊急対応まで、さまざまな場面での活用が進む。スタットコールなど初動の速さが求められる場面で、誰に連絡が届き、誰が対応可能かを即座に把握できる点が高く評価されている。
また、院内で利用しているマイクロソフトのコミュニケーションツール「Teams」のシフト機能と連携することで、現場でシフト表を変更した場合でもFASTMessageへ即時に反映。常に最新の体制を前提とした連絡を可能とし、夜間・休日を含め、連絡先の不一致による混乱を防いでいる。
加えて、ビーコンシステムの活用により、呼び出しが発生した場所を直感的に把握できるようになり、状況確認や初動対応がよりスムーズになったという。
PHS時代に培われた「確実に届く連絡」という考え方を継承しつつ、スマートフォン時代に適した形へと再構築したFASTMessage。医療現場の判断と行動を支える連絡基盤として、ICTを活用した業務連絡体制の変革実現に向け、今後さらに存在感を高めていきそうだ。
▽リード株式会社「FASTMessage」
https://www.lead-ltd.co.jp/solution/package/fastmessage
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