順天堂大は、若くして卵胞発育が停止して閉経する早発閉経に慢性腎臓病や慢性心不全の内服薬「フィネレノン」が有効だとする研究結果を明らかにした。これまで自己の卵子では妊娠が困難とされてきた早発閉経に対し、内服薬の投与による新規治療法の可能性を示す成果だとしている。
同大大学院医学研究科産婦人科学の河村和弘教授や、香港大医学部産婦人科のKui Liu教授らの共同研究グループは、米国食品医薬局が承認している約1,300薬剤の中から、候補となる薬剤を探索。内服薬で安全性が高く、薬理学的な特性が十分に解明されている最終候補としてフィネレノンを同定した。
卵巣機能が低下したマウスにフィネレノンを投与すると、二次卵胞と黄体の増加が確認できた。また、生後6カ月の別のマウスにもフィネレノンを投与して交配させたところ、多くの児を分娩した。マウスに異常は認められなかった。
フィネレノン投与による有効性や安全性などが動物実験で確認できたため、研究グループは臨床試験を実施。卵巣機能が低下して卵巣の線維化が進行した早発閉経患者14人にフィネレノン20mgを週2回投与した。その結果、全ての患者で卵胞発育が認められ、患者1人当たりで平均5.7個の胞状卵胞が確認された。また、5人の患者はそれぞれ1個の受精卵を凍結保存することができた。
研究グループでは今後、国際多施設共同試験でさらなる有効性の検証を行う。また、「フィネレノン以外の候補薬剤もまだ多く残されており、研究を進めることで安全かつ最も有効性の高い薬剤を見つけ出せることが期待される」としている。
早発閉経は、卵巣内の残存卵胞がさまざまな原因により病的に激減し、40歳未満で卵胞発育が停止して閉経する疾患で、自己の卵子での妊娠は非常に困難となる。女性の3.5%が発症するとされ、確立された不妊治療法はなく、新たな治療法の開発が求められている。
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