国立成育医療研究センターアレルギーセンターの山本貴和子らの研究グループは、乳児期の早期に発症したアトピー性皮膚炎への早期強化治療が子どもの3歳時点でも食物アレルギーの有病率を低下させるとする研究結果を公表した。この結果は、アレルギー疾患の進展を抑える新たな戦略となる可能性を示しているとしている。
研究グループは2023年4月、複数の医療機関が連携して患者をランダムに治療群へ割り当てて効果を検証する多施設共同ランダム化比較試験で乳児期早期のアトピー性皮膚炎に対して炎症を十分に抑える早期強化治療を行うことで、生後28週時点の鶏卵アレルギーを有意に減少させるという研究成果を公表した。
今回の研究では、その効果が3歳まで持続するのかを検証した。生後7-13週でアトピー性皮膚炎と診断された乳児650人(全国16施設)を対象に、「早期強化治療群」と、ガイドラインに沿った「従来治療群」に分け、生後28週まで治療を実施。その後は通常診療を行い、3歳まで食物アレルギーや皮膚症状、アレルギー性疾患、成長などを評価した。
その結果、3歳時点の食物アレルギー全体の有病率は早期強化治療群が47.4%で、従来治療群(58.8%)よりも有意に低下していた。生卵アレルギーの既往は早期強化治療群30.4%、従来治療群40.5%と、有意な差が認められた。
また、アトピー性皮膚炎の重症度は両群で同等となり、90%以上が軽症以下だった。全身療法が必要となった子どもはいなかった。
研究結果について研究グループは、「乳児期のアトピー性皮膚炎に対して早期から十分に炎症をコントロールすることが食物アレルギーの長期的な予後やアトピー性皮膚炎のコントロールに影響を与える可能性を示した」と指摘。皮膚治療による十分な湿疹のコントロールと適切な食物導入を組み合わせることで、アレルギー疾患の進展を抑える新たな予防戦略につながることが期待されるとしている。
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