【宗和メディカルオフィス代表 原田宗記】
医療現場の失敗にはさまざまあるが、資金調達での問題も多い。今回は、生命保険会社の知人から「事業計画の見直しが必要と思われるクリニックがあるので、相談に乗ってほしい」と頼まれ、かかわったケースを紹介する。
事業計画を確認すると、借入総額は7000万円。医療機器などの設備投資も多く、リースを含めると開業資金は総額1億円に上る。消化器系の標榜科目から考えると高過ぎる。事業計画は、開業コンサルタントをしている医薬品卸会社の開業部門から紹介された会計事務所が作成し、既にその会計事務所経由で銀行の融資も打診済みの状況だった。担当者いわく、「立ち上がりに時間がかかることを想定し、運転資金が多い方が安全と考えた資金計画」。しかし、余裕のあり過ぎる資金計画は逆に過剰投資になりやすいので注意を要する。
■口約束の融資に一抹の不安…
開業に当たっては、医薬品卸会社開業部門のA氏が中心となり、全ての窓口となっていた。どんな形でも売り上げが多ければよいと考えているように見受けられた。院長は10年間病院で勤務し、50歳までには開業したいとの思いで決断。開業本は読んでいたが、「経営についてはよく分からない」というのが実情。「融資はOK出たのですか?」と聞くと、「大丈夫だと聞いています」と言う。しかし、「銀行の担当者とお会いしましたか?」と念を押すと、「一度だけ」と言い、書類の提出もまだであることが判明した。
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