【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■ただ11万床を減らしても医療費は減らないのでは
自民・公明・日本維新の会による6月の3党合意は、「11万床削減・1兆円抑制」というインパクトの大きい数値と共に、CBnews(「余剰11万床削減、一般・療養は計5.6万床」)などを始め、多くのマスコミにより報じられた。
余剰な11万床を削減したら医療費は減るのだろうか-。非稼働病床を返上しただけでは、恐らく医療費は減らない。ただし、今後の診療報酬改定の議論次第で、よりタイトな病棟運営が求められれば、医療費抑制につながる可能性がある。例えば、DPC/PDPS制度について、次期改定の論点に入院期間IIの定義が挙げられている。入院期間IIの日数にパスを合わせベッドコントロールしている病院が少なくない。このようなベッドコントロールは、より効率的な病床利用を目指すことを妨げている可能性が指摘されている。仮に入院期間IIの日数が、全国の平均在院日数か中央値の短い日数になるとすれば、多くのDPCコードで期間IIの日数が短くなる。2023年度の退院患者調査のデータを用いて試算すると、8割以上のDPCコードで短くなり、3日以上短縮するのが6割近くに達する想定である=グラフ1=。

当然、期間IIの設定が短くなれば、期間Iや期間IIの点数は上がるため、病床高回転化の病院にはプラスの改定となることが期待される。一方、そうでない病院では、ベッドを埋めるために在院日数を延ばす必然性が下がり、より効率的な病床利用を目指すことになる。その結果、「1兆円」の金額が妥当か否かは別としても、
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次回配信は8月6日を予定しています
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