【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
2022年度診療報酬改定で「紹介割合」「逆紹介割合」が低い特定機能病院の初診料と外来診療料を減算する仕組みが導入されたことは記憶に新しい。「紹介率」「逆紹介率」という概念が従来存在していたが、これらの分母は初診だ。特定機能病院は逆紹介率が100%を超える状況を目指すべきであり、外来延べ患者に対する逆紹介が重要であることを提案してきた(連載第16回)。このような考え方が、逆紹介割合という形で制度に組み込まれたことになる。
■逆紹介率が極めて低い特定機能病院も
ただ、厚生労働省が行った「入院・外来医療等における実態調査」によると、紹介割合は平均値・中央値共に減算基準を多くの病院が上回っていたものの、逆紹介割合については特定機能病院の平均値が減算基準を下回っているという結果が提示された=資料1、資料2=。
特定機能病院の逆紹介率について、連載第196回で100%を超える病院も幾つかみられるが、極めて低い病院があることを指摘した。これらの分母を延べ患者数にしたところで、平均値が減算基準を下回るとは考えられず、恐らく資料2は集計ミスなどが生じたのではないかと予想する。実際に減算されている病院は数病院程度ではないかという報道もなされている。
事実がどうであれ、高度急性期病院が積極的な逆紹介を推進することは、かかりつけ医との役割分担という意味において重要であることは言うまでもないし、紹介元に患者を戻さなければ、次の紹介は来ないだろう。適切な逆紹介が次の紹介を生むと考えるべきである。
そこで、本稿では高度急性期病院における逆紹介の実態にデータを基に迫り、今後の外来医療の在り方について私見を交えて論じていく。
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次回配信は9月下旬を予定しています
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