【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
1. 「重症度、医療・看護必要度」の経緯
急性期病院にとって稼働率や在院日数は重要であり、それらは「重症度、医療・看護必要度」の評価項目と基準値の設定の影響を受ける。まずは、「重症度、医療・看護必要度」の最近の経緯を振り返り、これからの内科系救急の評価について私見を交えて論じていく。
2016年度診療報酬改定では、「重症度、医療・看護必要度」に患者の診療密度を適正に反映させるために、「救急搬送後の入院」が2日間、A得点で評価されることになった。
18年度診療報酬改定では、一般病棟入院基本料が急性期一般入院料に変更され、入院料1から7に分けられた。従来の7対1入院基本料は急性期一般入院料1という位置付けになった。また、診療実績データによる評価として「重症度、医療・看護必要度II」が新設されるとともに、「B14またはB15に該当する患者であって、A得点が1点以上かつB得点が3点以上」が「該当患者」の基準に追加された。これは認知症・せん妄等に対する手厚い評価で、高齢者ほど評価が高くなった。
20年度診療報酬改定では、許可病床400床以上の病院に「重症度、医療・看護必要度II」での評価が義務付けられ、「B14またはB15に該当する患者であって、A得点が1点以上かつB得点が3点以上」の基準は削除された。「重症度、医療・看護必要度I」では「救急搬送後の入院」が5日間に、必要度IIでは「救急医療管理加算または夜間休日救急搬送医学管理料を算定した患者」が5日間、評価されることとなった。さらにC項目の評価日数を大幅に延長し、例えば「骨の手術」は従来の5日から11日になった。
22年度診療報酬改定では、許可病床200床以上の病院で急性期一般入院料1の届け出病棟に、許可病床400床以上の病院で急性期一般入院料2から5への届け出を行う病棟に「重症度、医療・看護必要度II」での評価が義務化された。
また、急性期一般入院料は7区分から6区分に変更された。「心電図モニターの管理」がA項目から削除され、激震が走ったが、「点滴ライン同時3本以上の管理」が「注射薬剤3種類以上の管理」へ変更され、「輸血や血液製剤の管理」が従来の1点から2点となった。
24年度診療報酬改定では、
(残り2400字 / 全3374字)
次回配信は10月中旬を予定しています。
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】


