【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
病院の財務状況が苦しいことはさまざまな報道の通りであり、やるべきことを適切なメンバーで実直に実施しても収益性の悪化は避けられない。だからといって、何もしなくてよいというわけではなく、全てを完璧にこなすため、病院経営陣はリーダーシップを発揮すべきである。とはいえ、病院経営陣がコントロールできることばかりではない。病院の業績は外部環境によるところも大きく、特に最近では都市部の高度急性期病院が厳しい。物価高騰の煽りを受けている。もちろん都市部に立地するメリットもある。
このような状況で、患者数の減少にも歯止めがかからない。図表1は、一般病床の人口10万人対の・1日当たり在院患者数、図表2は病院における人口10万人当たりの外来患者数である。

地域によるが、いずれも減少傾向にあることが確認できる。患者数は伸び悩むのに費用はかさむわけで、これでは収支の帳尻が合うはずがない。これに対して診療報酬の大幅な増額の要望があり、私としてもそれを切に望みたいと思うものの、全体の財源を考えると一律のアップは厳しいのかもしれない。これで中長期的な医療提供体制がどうなるかは疑問もあるが、諸外国と比べるとまだまだ効率化の余地がある面も否定できない。
■「こんな店二度と来ない」翻って私たちは?
先日、カジュアルであるが予約の取れない東京都内の飲食店をコロナ以降で初めて訪問した。かつては、著名人などが多数来店していたし、私にとっても人生のさまざまな局面でお世話になった店だった。
ただ、
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