【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
11月20日に行われた社会保障審議会・介護保険部会では、第10期介護保険事業計画期間の開始(2027年4月)までに結論を出すとされたいくつかの問題について考え方が示された。
軽介護者(要介護1・2の対象者)の訪問・通所介護を市町村の総合事業に移管することに関しては、地域によって総合事業の機能が十分ではなく、移管後のサービス確保が困難であるとして見送りとする案が示された。委員の多くがそれに賛同する姿勢を示したので、見送りが確実な情勢となったと言ってよいだろう。
介護保険サービス利用時に2割負担となる人の対象を拡大する案に関しては、新たに2割負担に該当する人であっても、預貯金などの資産が一定の金額未満の場合は1割負担のままにする案を厚生労働省が示した。このように除外特例を示すこと自体、対象拡大に舵を切っていると言えるのではないか。特に政権与党で自民党と連立を組む日本維新の会は、現役世代の社会保険料を上げないことを公約として掲げており、要介護者の自己負担拡大はこの政策とマッチすることから、2割負担対象者の拡大は実現される公算が高い。
問題は居宅介護支援費の自己負担導入案である。現在、全額公費支給されている居宅介護支援費の自己負担導入に向けて、厚労省は次の3案を示した。
(1) 所得状況を勘案
(2) 住宅型有料老人ホームの入居者から徴収
(3) 給付管理業務の実費相当分を徴収
(1)の所得状況を勘案するとは、どういう意味だろうか。そもそも現行の利用者負担は、利用者の所得状況によって負担割合が1-3割まで定められているのだ。すると厚労省が資料で示した「所得状況を勘案」とは、
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