順天堂大は、同大大学院の研究グループの研究で悪性リンパ腫である「NK/T細胞リンパ腫」に対する新規モノクローナル抗体「mAb ANAP」の開発に成功したと明らかにした。この成果は、新たな抗体治療の開発につながる可能性を示すもので、ほかの悪性リンパ腫や一部の固形がんへの応用も期待されるとしている。
この研究は、同大大学院医学研究科アトピー疾患研究センターの松岡周二特任准教授と、同医学部産婦人科学講座の武内詩織助手らのグループが実施。独自に確立したスクリーニング手法を用いて、NK/T細胞リンパ腫に対して直接的な細胞破壊活性を示す「mAb ANAP」を開発した。この新たなモノクローナル抗体は、従来から知られている免疫学的な細胞死メカニズムに依存せず、がん細胞表面に直径約3マイクロメートルという極めて大きな穴を形成することで、投与してから20分以内に細胞死を誘導する。
「mAb ANAP」は、NK/T細胞リンパ腫細胞に対して極めて高い選択性と強力な細胞破壊活性を示す一方、正常のリンパ球や健常者由来の末梢血細胞には影響を与えず、安全性の面でも優れていることが確認できた。また、複数のNK/T細胞リンパ腫細胞株で一貫した有効性も認められた。
また、この抗体の標的分子はインテグリンα4(ITGA4/CD49d)だが、既存の抗ITGA4抗体にはない細胞破壊活性を持つことも明らかになった。
NK/T細胞リンパ腫は、東アジアやラテンアメリカで多く見られる極めて悪性度の高いリンパ腫。特に鼻腔型節外性NK/T細胞リンパ腫(ENKL)は、日本では歴史的に「ロットン・ノーズ病(鼻腐れ病)」と呼ばれ、鼻腔や周辺組織を急速に破壊する致死的な疾患とされている。
現在の治療法であるL-アスパラギナーゼを含むSMILE療法を用いても、5年生存率は50%未満にとどまっており、新たな治療法の開発が急務とされている。B細胞リンパ腫に対してはリツキシマブなどの抗体療法が成功を収めているが、NK/T細胞リンパ腫に対する効果的な抗体療法はこれまで存在していなかった。
研究グループでは、開発した「mAb ANAP」はこれまで有効な抗体療法がなかったNK/T細胞リンパ腫に対する新たな治療法の可能性を提供すると指摘。製薬会社などと協力し、臨床応用に向けた開発を今後進めるとしている。
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