脳梗塞・認知症予防に善玉コレステロールが有効か
国立循環器病研究センター
国立循環器病研究センターは、脳梗塞や認知症にかかる原因の1つである「頸動脈狭窄/閉塞症」に対してHDLコレステロール(通称:善玉コレステロール)が脳循環代謝の改善に関連していることを研究で明らかにしたと発表した。この成果により、将来的にHDLコレステロールを上昇させる改善薬が脳循環代謝を改善させて脳梗塞や認知症の発症予防の1つとなると考えられるとしている。
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動物などを用いた基礎研究ではこれまで、HDLコレステロールが動脈を拡張させる効果や毛細血管を増やす効果があることが明らかになっていたが、ヒトの体内でそれらに関連する変化は確認されておらず、HDLコレステロールが脳循環代謝に良い影響を与えるのかどうか分かっていなかった。
同センターの服部頼都・認知症先制医療開発部特任部長/脳神経内科医長らは、脳血流を含めた脳循環と脳代謝の状態を一度で測定する検査機器を使って、2013年4月-21年6月に研究を実施。HDLコレステロールの値によって脳循環代謝が4-24カ月の間にどのように変化するかを、HDLコレステロールの基準範囲内(40mg/dL以上)と、低値(40mg/dL未満)の患者に分けて解析した。
その結果、基準範囲内の患者は「脳の血のめぐり」を示す脳血流量が増加していることが明らかとなった。さらに、脳血流量を改善させるHDLコレステロールの値を詳しく調べたところ、44.5mg/dL以上を目指すことがよいことも分かった。
脳血流の低下は、脳梗塞やアルツハイマー病、血管性認知症などを招く要因となるが、脳血流の低下を予防することや脳血流を改善させる手段として確立された薬剤はない。これまで、脳梗塞の予防でLDLコレステロール(通称:「悪玉コレステロール」にばかり着目される傾向にあったが、LDLコレステロールを低下させるだけでは脳梗塞を予防できない報告も出ている。
同センターは、「今回の研究で今まで脇役だった善玉コレステロールが脳血流改善を通じて脳梗塞、認知症予防の主役へ躍り出てくる可能性を示している」と指摘。HDLコレステロールを上昇させる薬剤を使用した臨床試験を行い、脳血流の改善を検証し、善玉コレステロールの脳梗塞や認知症予防に対する有効性の実証につなげるとしている。
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