リノベーションで自分だけの「新築」を
国が、医療機関・介護施設にいる患者や利用者を自宅での生活にシフトさせる政策を取る中、自宅を自身のライフスタイルに合わせた形で改築する「リノベーション」に注目が集まり始めている。
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―たどり着いたのは、リノベーション
2009年、東京都内に住む寺田明さん(仮名)夫妻は、2人とも60歳前後で子どもも自立し始めていた。これを機会にと、老後を見据えて行ったのが、自宅を大幅に改修するリノベーションだった。約70平方メートルの自宅が、リノベーションの結果、新築よりも安価で自分好みの家へと生まれ変わり、「生活がより楽しくなりました。120%満足しています」と夫妻で口をそろえる。
そんな2人も、09年当初はリノベーションの存在を知らず、新築マンション物件の中から2人のライフスタイルに合ったものを探していた。
ところが、週末などを使ってショールームを見学には行くものの、なかなか納得のいく物件が見つからなかった。明さんは、「新築だと、商品の“売り”と自分のこだわりたいポイントが違った」と振り返る。
そんな中、明さんの妻・由美子さん(同)が友人から、住居の枠以外をすべて解体して内装や設備機器を新しくするリノベーションを勧められた。明さんは「しょせんリフォーム。質では新築に劣るだろう」と乗り気でなかったが、由美子さんは友人の勧めということもあり、興味を示しだしていた。
■担当の一貫体制が可能にする二人三脚
10年の春ごろに、住宅改修の大手3社から見積もりを出してもらい、同年の夏には住友不動産の「新築そっくりさん」に決めた。
他社が「デザイン料」などあいまいな見積もり項目を出す中、追加費用がないなど価格設定が完全定価制で分かりやすく、リノベーションの提案内容も明確だったのが決め手だった。また、他社が数人のチームで対応して連携の悪さが目立ったのに対し、住友不動産では1人の担当者が一貫して対応するシステムだったので、信頼関係を築きやすかったという。
由美子さんは、「担当者は口が重いし、実は最初は少し不安だった」と打ち明けるが、使用する素材の選定などを一緒に行ううちに、「わたしたちが何を一番大切にしているか、よく考えてくれました」と信頼するようになっていった。明さんも、「素人のわたしたちの要望をうまく整理して、限られた予算内で取捨選択をしてくれました」と評価する。
■半年間でじっくりと
住友不動産への依頼を決めてから、じっくりと半年間ほどをかけ、夫妻は同社の担当者と共に、内容を詰めていった。
その結果、「風呂場にチープ感のあるアルミ材を使いたくない」という明さんの要望を取り入れた上で、担当者から提案のあったガラス張りの浴室と、キッチンと廊下の両方から出入りできる2ウェイを採用した=図1=。「提案された時は否定的でしたが、やってみたら以前より空間が広く感じられて、成功でした」と明さんは語る。2ウェイについても、生活動線を考慮したプロの目線が際立った。キッチンへ行くにも廊下から回り込む必要がなくなり、移動しやすくなったという。
さらに、由美子さんの要望だった床や壁の素材についても、満足できる出来になった。床材にはカリン材を使用することで、自然な木目のデザイン性と、堅く丈夫なことから掃除が簡単にできる機能性を実現。壁には担当者の提案で、一部に石壁を取り入れる遊び心も見せた。「適切なアドバイスをしてもらえたおかげで、訪問客からもほめられる」と、由美子さんは笑みを浮かべる。
また、当初あった和室はなくすことにした。年齢を重ねるにつれて、布団からの寝起きで腰を痛めるようになり、布団の出し入れも腰に負担となったためだ。
■マンション管理人に絶賛される工事体制
夫妻が特に驚いたのが、2か月間ほどの工事期間中だった。リフォームをする住人の多いマンションで、「管理人にも絶賛されるほど、工事が静かで後片付けもきれいな上に、担当者も礼儀正しかった」と由美子さんは話す。
工事後も住み続けるリノベーションでは、工事の騒音などで近隣住民の不評を買えば、持ち主の住み心地が悪くなってしまう―。住友不動産の「新築そっくりさん」では、その点を考慮して、経験豊富な専属の施工統括者を配置し、責任を明確にして工事に当たる。
■新築の前にリノベーション検討を
リノベーションについて、由美子さんは「まだまだ知らない人が多い。住み替えを考えるなら、まずはリノベーションを検討すべき」と話す。
その利点として挙げるのは、新築物件に比べて安価な点だ。寺田さん夫妻は、新築でそこそこ納得できる物件を購入した場合に比べて、5分の1以下の予算で済んだという。
ほかにも、どのような自宅に改修するかを考える過程そのものを楽しめ、改修後の自宅に愛着がわく点を挙げる。これに加え、「自分の生活スタイルにフィットした、自分だけの家を持てる喜びがある」と語る。明さんは「以前よりも家での生活が充実し、仕事の後は家に早く帰りたくなる」と笑う。
住友不動産のリノベーション「新築そっくりさん」の詳細はこちら。
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