【宗和メディカルオフィス代表 原田宗記】
開業に適した立地条件は、(1)競合が少ない(2)交通の便がよい(3)人通りが多い(4)目立つ分かりやすい場所(5)人口が増加傾向にある-などだが、すべてを備えている立地は少ない。われわれが目安とするのは、コンビニや中小規模スーパーの立地や出店の情報。社会的ニーズや地域性を考慮すると参考になる。
開業地を選定するには診療圏調査を行うことが基本である。以前の診療圏調査は、候補地の役所に行って人口動態調査や周辺の医療機関、都市計画などの資料を手に入れて検討し、1週間以上は時間のかかる調査であった。現在では、診療圏調査ソフト(マーケティングソフト)を利用して推計患者数を割り出すことが可能となったため、何も考慮しない基本調査であれば、30分もあれば可能である。
しかし、人口などの基本データは国勢調査(5年に1回)によるデータで、調査時期によっては5年前のデータを使用する場合もある。さらに、診療所データは年間3500から4500前後の開院、閉院があるが、随時更新するソフトはなく、精度は80-90%というところ。そのため、基本データの精度も加味すると、診療圏調査の信頼度は80%前後と考えるべきだろう。また、都市部の商業地域と居住している住宅地域でも信頼度は異なる。都市部の商業地域では人口動態などが把握しにくいため信頼度が低くなるからだ。診療圏調査の変動項目も多く、診療圏も地域や診療科目によって異なり、幹線道路や駅、交通手段にも左右されるなど、調査する会社の考え方によって推計患者数は変わる。
次回の記事配信は、9月9日5:00を予定しています
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