外来患者が透析治療などを受けている間、快適に過ごせるように、厚生労働省は、医療機関が保険診療の料金に上乗せして徴収できるサービス料の対象を広げる。13日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)の総会で同省が提案し、承認された。告示や通知の改正を経て適用される。【佐藤貴彦】
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保険診療の料金に上乗せしてサービス料を徴収できる「選定療養」の対象には現在、患者が入院する病室の特別の療養環境などがある。
政府は2014年6月、療養時のアメニティ(快適さ)を向上させるため、選定療養の対象となるサービスを見直す仕組みを構築することを決定。これに基づき、厚労省はパブリックコメントを募集するなどして、必要な見直しを検討していた。
13日の総会で同省は、外来患者の透析治療などでも、特別な療養環境で提供する場合、その環境に医学的な必要性がないといった条件を満たせば、サービス料の徴収を認める案を提示。強く反対する委員はいなかった。
また、前立腺がんのマーカー「PSA」と、膵がんなどのマーカー「CA19-9」の検査について、患者の不安を解消させるために必要なら、保険診療のルールで規定された上限回数を超えて実施した際にサービス料を徴収できるようにする案も示され、委員の承認を受けた。
そのほか、抗インフルエンザ薬タミフルなどの予防投与の料金や、患者の都合で急にキャンセルになった検査の料金(薬剤料に相当する分のみ)、患者が院内託児所を使用した際の料金などについて、おむつ代などと同様に、医療機関が患者から徴収できることを明確にすることも決まった。
■保険外ノロ検査の選定療養への追加は見送りに
ノロウイルスの確定診断に必要な検査について、保険診療の対象が65歳以上の高齢者などに限られることから、厚労省は当初、勤務先に報告したいといった患者側のニーズを踏まえ、保険対象外の検査も選定療養の対象に加える方針だった。中医協が今年1月に開いた総会で、同省が見直しを提案していたが、関係者の見解が分かれているとして、見送ることにした。
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