誰しも身近に充実した医療機関が欲しいが、それは難しい-。山形大医学部では、データを活用しながら、県内の医療資源の適正配置を進めてきたが、医療政策学講座の村上正泰教授がそれに必要な分析を行っている。人口が減り、患者数も限られていく中、どうすれば、各地域に必要な医療を残せるのか。一つの鍵は医師の一定程度の集約だという。【大戸豊】
■病院の分散が医師の負担を増やしている
山形県では、基幹病院のすべてを公立もしくは公的病院が担い、郡部などでは、100床未満の町立病院などが医療の中心になっていることが多い。しかし、小さな公立病院を中心に、既に病床稼働率の落ち込みが始まっている。
村上教授は、「自治体病院は医師不足で収入も増えず、経営的に厳しい」というのは一面の真実としつつも、患者が減少する中でこれまで通りの体制を維持しようとしても不可能であり、地方で医師を集めようとすれば、基幹病院に急性期機能をある程度集約し、症例を集めることが欠かせないと話す。
大学としても、若い医師に専門医としての経験を積ませたいので、症例数の少ない病院への派遣は難しい。また、研修医も症例数の少ない病院には集まってこないのが現状だ。
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