都市部の300床の病院はどう生き残るのか-。東邦大学医療センター大橋病院(東京都目黒区、319床)は6月20日に新築移転する。渋谷駅から一駅の好立地にある同院だが、周辺病院との差別化が課題だった。新築移転に合わせ、病床をダウンサイジングし、診療科も得意分野に集中させる。
今回、大橋病院の長谷弘記院長とCBnewsマネジメントで連載中の井上貴裕氏(千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長)が、都市型高度急性期の今後の在り方をテーマに対談した。【司会・構成、大戸豊】
■319床にダウンサイジングした理由
長谷 井上先生は東邦大学の客員教授ということもあり、3年前から、新病院の移転計画や、診療科や病棟の在り方などについてアドバイスをいただいてきた。
井上 新築移転までに紆余曲折もあった。
長谷 当院は前回の東京オリンピックがあった1964年に開院し、老朽化が進んでいたし、病院をめぐる環境も大きく変化している。渋谷の近辺で高度急性期を提供するには、特化型の都市型病院にする必要があると考えた。
当院は当初433床だったが、その後374床にし、新築移転では319床にした。現在、平均在院日数は8.7日と高回転だが、どうしても空き病床が出てくる。そこで、100%稼働を前提に、現在と同じ患者数を収容し、在院日数を短くした場合、必要な病床数をシミュレーションした。収入基盤が最も安定する数だと考えている。
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