医師の働き方改革について議論が進んでいる。政府の「働き方改革実行計画」では、医師の時間外労働規制などについて、2019年3月には最終的な結論を得るとしており、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」で引き続き議論が進められる。ただ、この問題には、さまざまな要因が絡み合い、理解しにくいのも事実。現時点で示されている論点などを確認しつつ、ポイントを整理した。1回目は医師の偏在対策について紹介する。【大戸豊】
「医師の働き方改革」って何が問題なの?
医学部の入学定員の推移
文部科学省「平成30年度 医学部入学定員増について」より
医学部の入学定員は08年度以降増え続けており、18年度は過去最大級の9419人となった。定員増加分の多くは「地域枠」で、16年度では約1600人を占めている。
地域枠の入学者は16年度以降に地域医療に従事し始めており、24年度の従事者は約1万人に上る見込みだ。
ただし、医学部の入学定員を増やしただけでは、都市部への集中傾向はあまり変わらず、医師の偏在は解消されにくい。
18年3月に国会に提出された「医療法及び医師法の一部を改正する法律案」は、偏在解消に向け、都道府県に権限委譲などを進めていくものだ。
法案のポイントは、(1)医師少数区域等で勤務した医師を評価する制度の創設(2)都道府県における医師確保対策の実施体制整備(3)医師養成過程を通じた医師確保対策の充実(4)地域での外来医療機能の偏在・不足等への対応(5)地域医療構想の達成を図るための都道府県知事権限追加-の5つだ。
この法案は、地域医療構想と対を成すような形で、地域の医療ニーズを示しつつ、医師の確保や偏在解消を進めていくことも特徴の一つだ。
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