4月の薬価改定を機に医薬品メーカー各社が卸に対する販売価格である仕切価の引き上げを行っていることが厚生労働省の調査で明らかになった。厚労省は流通改善ガイドラインを策定して4月から実施、適切な仕切価の提示に基づく早期妥結と単品単価契約の推進を図ることとしているが、それに逆行する状況となった。薬価の毎年改定を前に利益減を避けるため薬価差の縮小を狙ったもので、メーカーとしては止むにやまれぬ対応。薬価交渉は難航しそうだ。【ライター 設楽幸雄】
厚労省は、4月から実施した医療用医薬品の流通改善ガイドラインへの取り組み状況として、主なメーカー19社(新薬メーカー16社、後発薬メーカー3社)を対象に仕切価水準の見直し動向について緊急調査を実施、その結果を5月30日の医療用医薬品流通改善懇談会に報告した。
一部品目で「製品価値を勘案して仕切価率を引き上げ」または「原価を変更せず仕切価率・割戻し率を同率引き上げ」が、新規性や有効性などが高いことを要件とする「新薬創出加算対象品」では37.5%(16社中6社)あった。
さらに、それに該当しない「特許品」も25.0%(同4社)、特許切れで後発薬の出ている「長期収載品」でも23.5%(19社中4社)、「後発薬」は50.0%(14社中7社)、「その他」29.4%(17社中5社)と、革新性の高い新薬に限らずすべての区分で仕切価の引き上げが行われていることが分かった。
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