百日咳の治療では、マクロライド系抗菌薬が第一選択薬として使用されるが、近年、中国を含む諸外国でマクロライド系抗菌薬に耐性を持つMRBPの出現と拡大が問題となっている。
都立小児総合医療センターでは、2024年11月1日-25年3月31日に複数のターゲット遺伝子を検出できるマルチプレックスPCRで百日咳菌が陽性となった9例のうち、5例でMRBPが培養で分離された。
MRBP感染症の患者を年齢別に見ると、1歳未満が2例、6-7歳が2例、17歳が1例。このうち、基礎疾患がない生後1カ月の女児は死亡した。
この5例は互いに感染が成立するような関わりや海外渡航歴もなかったため、JIHSではすでに都内でMRBPが拡散していると推測。この5例については家族内感染が疑われるとした。
MRBPへの治療には、2種類の抗生物質を組み合わせたST合剤が用いられるが、新生児には禁忌とされる。ただ、ビリルビン値が低い症例については高ビリルビン血症のリスクが比較的低く、救命のための使用が許容できるとされている。
百日咳の対策としてJIHSは、マクロライド耐性にかかわらずワクチン接種が有効だとした。日本小児科学会では定期接種に加えて、就学前の幼児と11-12歳の児童を対象に3種混合ワクチンを接種し、家族内感染を抑制することを推奨している。
JIHSではまた、百日咳に有効なワクチンの定期接種前となる生後2カ月未満の乳児への対策として、妊婦への3種混合ワクチンの任意接種により胎盤を介した移行抗体で守る方法があるとしている。
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