初診待機日数と関連する要因を分析したところ、初診の診療時間が60分以上となる割合が高い診療所ほど待機日数が長くなる傾向があった。そのほかの項目では待機日数との有意な関連は認められなかった。
一方、初診待機日数は都道府県によって有意に異なっていた。そのため藤井氏は、診療機能の違いだけでは初診待機日数の違いを十分に説明できず、地域の医療リソースや人口構成、精神科医療の需給バランスなど構造的要因が大きく影響している可能性があるとした。
調査は、2024年度厚生労働行政推進調査事業費補助金で実施された。日本精神神経科診療所協会に所属する診療所を対象に24年12月の診療状況などを調査。787の診療所が回答した(回答率48.9%)。
初診待機日数を減らすための対策として最も多く実施されていたのが(複数回答)、「再診患者の診療間隔の延長」(32.5%)だった。次いで「医師以外の専門職による診療の補完」(24.5%)、「診療時間の延長」「診療日数の増加」(ともに16.1%)など。
自由記述では、▽コメディカルスタッフの増員・配置、タスクシフト▽初診専用日や当日救急枠の設置-などの回答もあった。
藤井氏は、24年度の診療報酬改定で、初診に60分以上の精神療法を実施した場合の報酬引き上げなどが行われ、精神疾患の早期発見や長期となる初診待機の解消が図られたものの、今回の調査では60分以上の初診が不要か、実施が困難だとする診療所の実情も示されたと報告。現場では多職種配置による診療の補完やタスクシフトなども進められていることから、長期の初診待機などの課題解消に向けて多職種配置への適切な評価が必要ではないかと指摘した。
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