24年度の退職者数が採用者数を上回った医療機関は、回答した136カ所のうち79カ所で58.1%を占めた。前年度の49.6%(61カ所)を8.5ポイント上回っており、医労連では看護職員の人材不足が加速している状況が明らかになったとしている。
4月の新規採用で募集定員を満たせなかった医療機関は、回答した113カ所のうち46カ所で40.7%に上った。また、24年度の退職者数を同年度の採用者と25年4月の新規入職者で補充できた医療機関は98カ所(74.2%)だったものの、19.7%は不足を補えなかった。
看護職員の不足による医療提供体制への影響を聞くと(複数回答)、ケアの時間が確保できないといった「患者サービスの低下」が44.8%で最多だった。次いで、「病床の削減」(20.7%)や「入院の受け入れ制限」(17.9%)など。「病棟の閉鎖」という回答も12.4%あった。看護職員の人手不足に対し、多くの医療機関では夜勤回数や時間外労働の増加などで対応していた。
調査結果を報告した書記次長の松田加寿美氏は、24年末の賞与が大幅に削減された医療機関が多く、10万円以上引き下げられた所では同年度の平均退職者数が全体より6人多かったと指摘した。さらに退職者が採用者を上回った施設は64.3%で、全体の割合を6.2ポイント上回っており、処遇の悪化が人材不足を招く一因になっていると強調。求人をしても人が集まらず、「看護という仕事が選ばれない職業になってきている」と危機感を示した。
佐々木悦子中央執行委員長は会見で、「過酷な働き方とそれに見合わない低い賃金によって多くの看護職員が医療現場を去っている」と述べ、医療現場が置かれている状況を伝えることで世論を動かし、看護職員の処遇改善を国に求めていく考えを示した。
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