国際医療福祉大学大学院 高橋泰教授
政府が13日に閣議決定した骨太方針2025には、不要な病床の削減が盛り込まれた。自民・公明両党と日本維新の会の合意に基づくもので、地域の実情を調査した上で、新たな地域医療構想が施行される2027年4月までに一般病床・療養病床・精神病床の削減を図る。国際医療福祉大大学院の高橋泰教授は、人口減少が進む中、病床削減など医療体制の縮小が避けられないとみている。【聞き手/構成・兼松昭夫】
■病床削減は未来への決断
今回、3党が病床削減を決断したのは、将来に禍根を残せないという危機感からでしょう。病床や病院を減らす政策は、一般に否定的に受け取られがちですが、今実行しなければ手遅れになる。参議院選挙が迫るこの時期に、あえて踏み込んだ政策を打ち出したのは英断だと思います。
維新の試算では、11万床の削減により約1兆円の医療費抑制効果があるとされていますが、こうした数字の信頼性はそれほど重要ではありません。シミュレーションでは仮定条件次第で結果は変わります。大切なのは、「不要な病床を減らす」という方向性が明確になったことです。
ただし、政策目標の立て方には課題があります。本来、政治が目指すべきは単に病床数を減らすことではなく、人口減少下でも良質な医療を地域に確保する仕組みをつくることです。その点を明確にするべきでした。
■ラーメン店に例えると
医療体制の縮小がなぜ必要か、
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