【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■体制強化加算の廃止、運動器リハの算定単位数の見直しで大幅減収となった回リハ
4月23日の中央社会保険医療協議会・総会で示された「病院の収支構造の変化」=資料1=によると、2023年度の病院100床当たりの事業収益は18年度と比較して10.3%増えたものの、事業費用が14.7%増えたため、事業利益は大幅なマイナスに転じた。
事業費用が大幅に増えたのは、高額な抗がん剤や手術材料などに代表される医薬品費や医療材料費の伸びが要因だった。医薬品費などはその費用の増加に伴い収入も増加する。収入・費用どちらも増えるため、基本、利益には影響しない(ただし、円安や不安定な医薬品供給などの影響により、薬価差益が減っているどころか、逆ザヤが生じている品目すらあるので、経営の足を大きく引っ張っている)。一方で、人件費や委託費などは、ベースアップ評価料や看護職員処遇改善評価料などの点数の例外はあるものの、基本的には費用が増えれば利益が圧縮されてしまう。
資料1の収支構造は病院全体の値を示している。病院全体の値に比べ、回復期リハビリテーション病棟は医薬品費や医療材料費の割合が低く、人件費の割合が高い。そのため、回リハでは収入が増えず、費用だけが大幅に増えた可能性が高く、利益率の低下は他の病棟より大きいと想定される。
加えて、24年度診療報酬改定により、回リハのほとんどが経営的に厳しくなったと認識している。入院料の点数こそ増えたものの、入院料1、2の施設の多くが算定していた体制強化加算が廃止され、60床当たりで約2,000万円の減収となった。また、施設によっては、運動器リハの6単位制限による影響も受けた。
■GLIM基準の評価導入で負担が増えるも収入増につながらず
また、24年度改定では、回リハ1はGLIM基準による評価が必須に、回リハ2から回リハ5はGLIM基準を用いることが望ましいとされた。適切な栄養評価を行うことが重要であることは言うまでもない。しかし、厚生労働省の調査で「栄養評価に時間がかかるようになった」と答えている病院が約7割にも達していることが明らかになった=資料2=。
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次回配信は7月2日を予定しています
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