【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
1. 診療報酬において求められる「専ら」
診療報酬では、「専ら」という表現がしばしば登場する。例えば、画像診断管理加算では、「画像診断を専ら担当する常勤の医師」が施設基準で求められている。ほかにも、検体検査管理加算Iでは、「臨床検査を担当する常勤の医師が1名以上配置されている」ことが施設基準で求められているのに対して、検体検査管理加算IVでは、「臨床検査を専ら担当する常勤の医師が1名以上配置されている」と上位加算では表現が異なっている。
これは、当該業務に精通した医師が業務に専念することが評価されたものであり、診療報酬点数も非常に高いことから各病院は届け出を行うべく体制整備に注力することになる。実際、画像診断管理加算の届け出状況を見ると全体は変わらないものの、より上位の施設基準を届け出ようと各病院が読影体制の整備を行っていることが分かる=グラフ=。
この「専ら」は「専従」とは異なり、「専従」と「専任」の中間に位置付けられると言われることもある。この解釈は厚生局の担当官によっても異なるようで、本稿では敢えてそれに触れない。ただ、「専ら」を8割程度の時間を当該業務に費やすことだと仮定して、働き方改革の中でこの基準を満たせるのか、満たすためにどのような準備が私たちに求められるのかを本稿では考えていく。
2. 働き方改革 研究と自己研鑽
厚生労働省の通知「医師の研鑽と労働時間に関する考え方について」によると、
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次回配信は8月下旬を予定しています
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