関東の4都県と5政令市で構成する「九都県市首脳会議」は、人材紹介会社による看護職員らの紹介にかかる手数料の適切な上限設定などを厚生労働省に求めていくことで合意した。高額な手数料が医療機関の経営を圧迫しているためで、年内にも要望を行いたい考えだ。
人材紹介会社への対応として、国は「職業紹介優良事業者認定制度」の創設や職業紹介事業の許可条件の厳格化を実施。2025年4月からは、手数料率の実績の公開と違約金規約の明示に関する措置を講じている。
ただ、法令順守の徹底と雇用仲介事業の見える化に重点が置かれ、手数料の規制自体に踏み込んだ対策ではないとして、九都県市首脳会議は「実効性に乏しいと言わざるを得ない」と指摘している。
その上で、看護職員らの求職・求人活動で人材紹介会社の利用が恒常化している現状や医療機関の負担を踏まえ、手数料の適切な上限設定や、それを順守させるための実効性の確保などを厚労省に要望する。
高齢化の進展に伴って医療・介護ニーズのさらなる増大が見込まれる一方、 生産年齢人口は今後減少に向かう中、効率的で質の高い医療を安定的に提供するために看護職員らの確保が一層重要となっている。
看護職員らに関する求人・求職活動については、医療機関の求めに応じて看護職員らを効率的に募集できるだけでなく、求職者にもきめ細やかなサービスを無償で提供し、医療機関や求職者のニーズを満たしている有料職業紹介事業者が増加。一方で紹介手数料が高額に設定されているため、手数料を価格に転嫁できない医療機関の経営を大きく圧迫しているという。
厚労省の22年度職業紹介事業報告によると、南関東ブロックでの看護職員らの1人当たり平均手数料は70.2万円で、80万円以上となるケースも少なくない。また、同省が23年度に実施した第24回医療経済実態調査の報告では、医業損益が大幅に悪化する中、手数料が前年度よりも1.2倍に増加していた。
九都県市首脳会議では「医療機関への影響は深刻化し、看護職員らの確保を困難なものにしている」と指摘している。
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