互いの長所活かす地域医療連携とDX 倉敷中央病院・山下氏
「メディカル ジャパン 東京」講演より(2) PR
10月に千葉市の幕張メッセで開催された「メディカル ジャパン 東京」(主催:RX Japan)では、医療や介護などに関する全84講演が行われた。CBnewsでは、病院経営のヒントになる4つの講演を連載で紹介する。2回目は、「地域医療連携とDX ~地域医療エコシステムの構築に向けて~」をテーマに講演した大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院地域医療連携部部長の山下伸治氏。
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地域連携をいかに深めるか-。多くの病院が試行錯誤で取り組む中、倉敷中央病院はDXを活用しながら地域連携を推進している。倉敷中央病院で独自開発した患者情報共有システム「KChart」を使い、処方内容やバイタル情報、CT・MRI画像などを医療機関間で共有。以前はDVDで画像のやり取りをしていたが、導入後は瞬時の共有が可能に。転院や退院後の通院などが格段にスムーズになった。
導入当初の2021年度には月3,500件弱だった閲覧件数が、25年4-7月には月1万3,000件弱へと4倍近くに増加。「今や地域医療エコシステムの要となるツールに成長した」と山下氏は語る。
倉敷中央病院では、各医療機関の得意分野を生かした連携を深め、機能分化を進める「地域医療エコシステム」に2021年4月から取り組んできた。例えば、肩の術後や変形性関節症などの紹介・逆紹介の増加を踏まえてこの領域での連携を強化したほか、増加傾向にある腹膜透析の新たな拠点整備など。
地域連携を掲げる病院は多いが、連携先の診療体制や対応能力が見えにくく、紹介や逆紹介が円滑に進まないケースも少なくない。倉敷中央病院のこうした取り組みは、連携先の医療機関と幹部層を含む病院対病院(1対1)の意見交換会など信頼関係を構築しながら、地道に積み上げていた。倉敷市で40余りの医療機関と連携体制を築いている。
この地域医療エコシステムを活用しながら、地域住民の健康に大きく貢献してきた倉敷中央病院。着実に医療機関との連携体制を構築する一方で、業務効率化の観点から「Dr2GO」をはじめとするビジネスチャットなど、複数のDXツールを取り入れてきた。
効果はすぐに表れた。例えば、転院調整で入院時の記録や検査結果、看護記録などを従来の1対1のやりとりから複数施設に一度に同時送信(相談)できるビジネスチャットを活用し1対Nの仕組みへ転換。調整にかかる時間を大幅に削減し、地域連携のスピードと効率が向上した。
山下氏は、「人材確保が難しい今、DXによる定常業務の効率化は不可欠」と強調。その上で、真に価値を発揮するDXは、KChartのように連携の質を高めるプラットフォームの構築にあるとし、地域の医療資源を最大限に生かすため、さらなるDX推進に取り組むと力強く語った。
医療介護経営CBnewsマネジメント
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