社交不安症患者、感覚処理領域の脳活動が低下
千葉大
千葉大は1日、社交不安症(SAD)の患者は身体感覚を処理する脳領域の活動が低下していることを研究で明らかにしたと発表した。特定の低周波での脳活動が空間認識力や記憶力といった認知機能と関連することも確認した。
【関連記事】
研究は、同大子どものこころの発達教育研究センターの和俊冰特任研究員や平野好幸教授、清水栄司教授らの研究グループによるもの。健常者40人とSADの患者27人を対象に心理尺度を用いて重症度を評価し、認知機能評価を実施。その後、安静時機能的MRIの撮影を行った。
その結果、SADの患者は周波数帯域の「典型帯域」や「slow-5帯域」では身体の感覚情報を統合する領域「体性感覚野」の一部の「両側中心後回」で健常者群よりも有意に低い脳活動が認められた。「slow-4帯域」では「左中心後回」に低下がみられた。
また、SADの患者では中心後回を中心とする周波数依存性の自発的脳活動の低下が認められ、認知機能との関連も周波数依存性があることが示唆されたという。
同大は研究結果について、SADでの認知機能障害の神経基盤の理解を深めるとともに、周波数依存的な脳活動指標を用いた新たな神経マーカーの確立に寄与することが期待されるとしている。
社交不安症は、社交的な状況に対する持続的な恐怖・不安を特徴とする精神疾患。生涯有病率は4-16%とされ、青年期に発症しやすく、社会的・職業的・学業的機能に著しい支障をきたす。SADの患者は感情処理や社会的認知、注意、実行機能などの認知機能障害を示すことが報告されており、これらは前頭前野や扁桃体、中心後回などの脳領域の異常と関連していると考えられているという。
医療介護経営CBnewsマネジメント
【関連記事】

