【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■24年度改定で変化した救急患者に対する急性期病棟の評価
2024年度診療報酬改定の影響はさまざまな項目に及んだ。その中でインパクトの強かったものを挙げるならば、急性期一般入院料における「重症度、医療・看護必要度」(以降、看護必要度)の見直しだろう。急性期一般入院料1を対象としたB項目を含めた評価要件の廃止は、入院患者の高齢化により病棟における業務負担の高まりと相反する厳しい見直しとなった。
また、救急搬送後の患者評価A項目2点5日間を2日間への短縮は、急性期一般入院料すべてが対象となった。救急搬送の入院患者はいつやってくるか分からないだけに病棟の負担は重い。病床機能報告のデータを分析すると、救急医療入院の割合の高い病棟では、明らかに看護師の配置が手厚くなっている(参考 「激変想定の看護必要度に対する備えを考える」)。
急性期一般入院料の病棟を複数持つ施設では、業務負担に応じて、看護師の傾斜配置をしている。つまり救急搬送などの予定外入院患者は、負担が重いと感じているに違いない。
救急搬送患者に対する看護必要度の評価は、A項目に2点2日間の評価が設定され(16年度改定)、さらにその後2日間が5日間に延び(20年度改定)、また看護必要度IIで救急医療管理加算が対象となる(同)など、基本的に手厚く評価する流れが続いてきた。団塊の世代が75歳に差し掛かるフェーズにおいて、救急搬送件数の急増で医療機関にかかる重い負担に対し「積極的に受けてほしい」というメッセージが込められていたと考えている。これから団塊の世代は80歳、90歳へ到達する。このフェーズにおいて救急搬送は減らない。一方で、救急搬送の評価が厳しくなった。これまでどおり評価されないことを踏まえれば、地域医療を維持するには、診療報酬で適切に評価されることの重要性が高まったと言える。
■救急患者の柔軟な受け入れはケアミックス型の強み
現状、急性期病棟しか持たない施設においては、重症系ユニットか一般病棟などの選択肢はあるかもしれない。しかし、看護必要度の観点においては、どこで受けても看護必要度を満たさなくなった患者は、
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次回配信は12月17日を予定しています
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