厚生労働省は4日、出産費用の無償化に向けて分娩費に全国一律の基本単価を設ける案を社会保障審議会の医療保険部会に示した。また、分娩を安全に行うため手厚い人員・設備体制で対応していたり、リスクの高い妊婦を積極的に受け入れる体制を整えていたりする施設を評価することも論点に上げた。早ければ来年の通常国会に関連法案を提出する方針で、新たな制度は2027年度以降となる見通し。【松村秀士】
■お祝い膳などは原則自己負担に
出産に関する新制度で厚労省は、現行の出産育児一時金をなくし、その代わりに医療保険適用の現物給付にして全国一律の給付水準とする。帝王切開といった異常分娩や妊娠合併症への対応など分娩に伴う保険診療は、これまで通り現物給付とする。
一方、「お祝い膳」やエステ、写真撮影などのサービスは原則、自己負担とする。また、「見える化」を徹底してそれらのサービスを妊婦が納得して選べる環境を整える。
厚労省では、新制度の骨格を年内にまとめる。分娩費の基本単価の額など詳細は取りまとめ以降も検討を続ける。新制度は全国一律で開始するのではなく、可能な施設から順次移行していくことを検討する。
出産を巡っては、23年4月に出産育児一時金が42万円から50万円に引き上げられた。しかし、昨今の物価や賃金の上昇などを背景に 出産費用は年々上昇しており、それに伴って妊産婦の経済的な負担が再び増加している。
厚労省の「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」が5月に行った議論の整理では、出産に係る標準費用を全て賄えるようにするという基本的な考え方に基づき、妊産婦の実質的な経済的負担を軽減していく必要性を指摘している。
また、産科医療機関などの経営実態にも十分に配慮しながら、26年度をめどに標準的な出産費用の自己負担無償化に向けた具体的な制度設計を進めるとした。
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