紹介状なし定額負担義務化、紹介率4-5ポイント増
400床以上の地域医療支援病院で JIHSなど
国立健康危機管理研究機構(JIHS)などは、紹介状なしで受診した初診患者に対する選定療養費の徴収義務化により400床以上の地域医療支援病院で紹介率が4-5ポイント上昇したとする解析結果を公表した。徴収義務化に伴い外来医療の機能分化が進んだと考えられるとしている。
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JIHS国際医療協力局グローバルヘルス政策研究センターの射場在紗上級研究員らは、筑波大医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野の田宮菜奈子教授らと共同で、茨城県の国民健康保険レセプトデータを解析。紹介状なしで受診した初診患者に対する選定療養費の徴収義務化の前後の紹介率の変化を調べた。
それによると、2014-21年度に200床以上の病院(計19施設)を延べ405万487人の初診患者が受診し、うち15万7,734人が紹介患者だった。特定機能病院では16年4月の義務化の前から紹介率が高く、大きな変化は見られなかった。
一方、500床以上の地域医療支援病院では16年4月の義務化のタイミングで、200床以上の一般病院と比べて紹介率が5.10ポイント上昇し、その翌月からは紹介率はほぼ一定だった。
また、400-499床の地域医療支援病院では、16年4月の特定機能病院などの義務化のタイミングで3.54ポイント上昇し、400-499床の地域医療支援病院が義務化の対象となった18年4月にさらに4.49ポイント上昇した。
200-399床の地域医療支援病院では、有意な変化は見られなかった。その理由について、JIHSでは「義務化のタイミングが20年4月の新型コロナウイルス感染の拡大と重なり受診控えや入院件数の減少が影響したため考えられる」と指摘している。選定療養費の徴収義務化による医療費や入院率、死亡などのアウトカムについて今後検討を行う必要があるとしている。
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