RSウイルス感染が肺炎球菌を増やす仕組み解明
東京医科大
東京医科大の研究グループは、RSウイルス(RSV)感染が普段は症状を起こさずに鼻の奥(鼻咽頭)に定着している肺炎球菌を増殖させる仕組みを明らかにしたと発表した。この研究成果はRSV感染後に細菌感染が悪化しやすい理由の理解を深めるとともに、RSVワクチンや新たな治療戦略の重要性を裏付ける知見として期待されるとしている。
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RSVは乳幼児の細気管支炎や肺炎の主要な原因ウイルスで、高齢者でも重症肺炎の原因とされている。臨床現場では、RSV感染の重症患者では肺炎球菌などの細菌がよく検出されることが知られている。
肺炎球菌は、多くの乳幼児や高齢者の鼻咽頭に定着していて、通常は症状を引き起こさない。しかしRSV流行期には、こうした定着肺炎球菌が増殖・拡散することで病態が悪化している可能性が指摘されてきた。ただ、ウイルス感染が免疫細胞の働きをどのように変化させ、定着肺炎球菌の増殖を引き起こすのかは十分に解明されていなかった。
そうした中、東京医科大の柴田岳彦准教授(微生物学分野)や同大大学院医学研究科の石川紗妃氏らの研究グループは、RSV感染によって体内で「Gas6」というタンパク質の産生が増加し、それが受容体「Axl」を介して免疫細胞のマクロファージに作用することを突き止めた。
マクロファージは通常、細菌を貪食・排除する重要な役割を担っているが、RSV感染下では「Gas6/Axl経路」が活性化し、マクロファージが細菌を十分に排除できない「低反応性」の状態に変化。その結果、鼻咽頭に定着していた肺炎球菌が増殖しやすくなり、下気道感染や肺炎に進展するリスクが高まることが示された。
今回明らかになった、RSV感染が鼻咽頭に定着した肺炎球菌の増殖を促す仕組みは、ウイルス感染後に起こる細菌性肺炎の新たな治療標的の提示や、RSVワクチンや抗ウイルス戦略の重要性の再認識につながるもの。
肺炎球菌ワクチンは、重症肺炎の予防に大きく貢献しているが、ワクチンでカバーされない血清型の増加という課題もある。研究グループでは、研究結果について「RSV感染そのものを予防することが定着肺炎球菌の異常な増殖を防ぎ、肺炎予防につながる可能性を示している」としている。
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