国立循環器病研究センター(国循)は、「TriClip」を用いた三尖弁閉鎖不全症に対するカテーテル治療を2日に西日本で初めて実施したと明らかにした。この治療法は三尖弁閉鎖不全症の患者の身体的な負担を軽減できる可能性があり、心不全治療の幅をさらに広げることが期待できるとしている。
国循の弁膜症治療チームが今回実施した「TriClip」カテーテル術は、右足の付け根からカテーテルを挿入し、弁尖をクリップでつまむことで逆流を軽減する低侵襲治療。
三尖弁閉鎖不全症の患者全てが治療対象ではないが、多くの患者が恩恵を受ける可能性がある治療で、▽84%の患者で逆流が中等度以下に改善▽生活の質が15ポイント以上改善▽心不全による再入院が有意に減少▽周術期死亡率が0%-といった安全性と効果を示す結果が報告されている。そのため国循では、「今後の普及が期待されている」としている。
心臓は4つの部屋と、それらの間を血液が一方向に流れるように調整する弁によって構成され、全身に血液を送りだすポンプとして働いている。この弁の機能に問題が起こると「弁膜症」と診断され、進行すると心不全を引き起こす。
弁膜症の中でも「三尖弁閉鎖不全(逆流)症」は、全身の血液を受け取る側の弁である三尖弁が十分に閉じず血液が逆流してしまう状態で、足のむくみや肝うっ血など右心不全の症状が現れる。重症になると、生活の質の低下や死亡率の増加につながるとされている。
しかし、外科手術しか根本的治療がなく、特に高齢の心不全患者では実際に手術を受けられるケースはごくわずかだった。こうした状況で、より身体的な負担が少ないカテーテル治療への期待が高まっていた。
国内では、僧帽弁閉鎖不全症に対するカテーテル治療が2018年から行われてきたが、三尖弁閉鎖不全症は治療法が外科手術に限られていた。26年3月1日にカテーテル治療が保険承認されたため、国循はいち早くこの治療に取り組んでいる。
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