国立成育医療研究センターの研究グループは、お産を終えた女性が退院直後から湯船につかる入浴をしても子宮内膜炎や会陰創部感染の発症は見られなかったとする研究結果を明らかにした。日本では、産後1カ月健診までは湯船につからないように産科医から指導されることが多いが、今回の研究でこうした慣習を見直してもよい可能性が示唆されたとしている。
研究は、同センターや国立国際医療センターで経腟分娩をした577人を対象に2024年8月-25年3月に実施。退院後から湯船入浴を許可する群と、それを産後1カ月健診まで禁止する群に分け、安全性と有効性を検討した。
その結果、入浴許可群(324人)と入浴禁止群(253人)の両方とも、産後1カ月健診までに子宮内膜炎や会陰創部感染を発症した人はおらず、安全性に差は見られなかった。
また、統計学的な有意差はなかったものの、産後うつのハイリスクとされるEPDSスコア(エジンバラ産後うつ病質問票)が9点以上の割合が入浴許可群では8.3%と、入浴禁止群の12.8%よりも少なかった。「会陰部痛あり」や「骨盤痛あり」の割合も、入浴許可群で少なくなっていた。
入浴に対して「満足している」と回答した人の割合は、入浴許可群が75.9%で、入浴禁止群の19.8%と比べ有意に高いことも分かった。
日本では経腟分娩後、産後1カ月健診まで感染予防のために湯船につかる入浴を控えるよう指導されることが多くある。しかし、湯船につかる入浴が会陰創部や子宮内の感染のリスクを高めるという医学的根拠はなく、あくまで慣習的な指導にすぎない。
一方、欧米を中心とした諸外国では、産後の会陰部痛の軽減を目的とした座浴が近年注目されている。座浴は下半身を湯や水につける方法で、会陰部や骨盤周りの血流を促して痛みを和らげる効果があることも報告されている。
研究グループでは、「このような座浴の考え方を鑑みると湯船につかる入浴も同様に安全かつ有効である可能性が高いと考えられる」と指摘。また、湯船入浴による疲労軽減やリラックス効果は産後のマイナートラブルの緩和や精神的安定につながる可能性があるとしている。
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