政府は10日の日本成長戦略会議で、官民投資の検討を先行して進めている主な製品・技術に関するロードマップ(工程表)の素案を示した。創薬などの分野では、「世界直行型」の医薬品開発を実現して海外市場を獲得し、国内製薬企業の特許品(新薬)市場について年平均9.6%成長を実現する目標を打ち出した。
素案では、ファーストインクラス製品(画期的医薬品)やベストインクラス製品(改良型医薬品)に関する基本戦略を明示した。「勝ち筋」として、基礎研究力や高品質な治験の強みを生かして、実用化を担う人材の育成や流動性の向上、リスクマネーの呼び込みなどによるスタートアップや国際共同治験での資金面・制度面の課題の解消を図る。
その上で、AIの戦略的な活用や医療データの利活用推進も含めて新たな創薬シーズの創出から実用化までを一気通貫で進める環境を整備し、「世界直行型」の開発を実現。これにより、成長が見込まれる海外市場の獲得につなげる。
今後講じるべき施策としては、▽実用化を担う人材の育成・流動化▽スタートアップなどへの投資呼び込み▽基礎研究力・治験実施体制のさらなる強化▽AI・データ利活用による研究開発プロセスの高度化・効率化を挙げている。
■「免疫グロブリン」国内自給率100%目指す
ロードマップの素案では、感染症対応製品に関する方向性や目標も示している。感染症対応医薬品は、平時には需要が小さいが有事の際は需要が急増するため、生産体制を安定的に維持するのが難しく、原材料や原薬を特定国に依存していたり、製造能力不足が見られる医薬品もあったりする。
ただ、日本の製薬企業は供給計画の順守力の高さや生産技術、高精度・非破壊で工程管理を可能とする測定技術といった強みを持っている。
そのため、研究開発や製造施設の整備、ワクチン・抗菌薬などの買い上げ・備蓄、安定供給措置の推進などを持続可能な形で図ることで、感染症対応医薬品を国内に安定的に供給する。技術力を生かした高品質な製品の輸出も進める。
目指す姿として、抗菌薬などをはじめとする治療薬や診断薬の25カ国以上への国際展開を行う。また、原材料や製造能力の不足により平時から国内で自給できていない「免疫グロブリン」の国内自給率を100%にするほか、成長が続く海外市場を見据えた輸出も可能にする。
達成すべき戦略的な目標では、次の感染症危機に備えて全国民分(約1.2億人分)のパンデミックワクチンなどを確保するほか、国内で重要な抗菌薬について海外からの供給途絶リスクに備え、製薬企業での原薬・原材料の備蓄を6カ月分確保する方針。
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