【株式会社コミュニケーション・ケア代表取締役 水上朝雄】
改正医療法で都道府県に設置が求められている「医療勤務環境改善支援センター」の全国第1号となった福岡県から、前回はセンターの概況をお伝えしました。今回は、これから本格的に行っていく勤務環境改善の支援のポイントについて述べたいと思います。
勤務環境を真に改善するためには、経営と組織運営、そして何よりも職員の教育がカギになります。当たり前と言えば当たり前のことですが、病院の経営が安定していないのに、勤務環境の改善をいくら叫んでも、絵に描いた餅ですし、その組織風土を知らなくては、適切な提案もできません。また、私の長年の経験上、医療の世界では世間の常識と異なることがあります。良いと思われる改善案も、それが医療の常識、言い換えればその施設のトップや幹部の尺度に合わなければ、絶対に採用されることはありませんでした。
■勤務環境改善には「お互いさま」が大切
ある病院では、会議で勤務環境改善に関する議題が取り上げられた時、出席していた医師が「まずは、おれたちの勤務環境を改善してくれよ!」と言ったために皆が黙ってしまい、その後、誰もその話題を議題に挙げなくなったそうです。確かに医師の勤務環境は最悪の場合が少なくありません。むしろ医師の勤務環境改善を真っ先にできるくらいであれば、他職種の勤務環境改善も難しくないのかもしれません。しかし、何とか苦労して医師の数を増やすことに成功したとしても、それに見合った収入が伴わなければ、人件費の増加がただでさえ苦しい経営を圧迫しかねないのです。
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