厚労省の林修一郎医療課長は「医療需要や提供体制、従事者のマンパワーを含む全体の状況をこの場で共有した上で、今後の議論の方向性について意見を交わしていただく」などと狙いを説明した。
それらのうち人口動態に関しては、東京23区や中核市などの都市部では、45年にかけて65歳未満の「若年人口」が減少し、65歳以上の「老年人口」は増えるのに対し、過疎地域の市町村では「老年人口」を含む全人口の減少がこれから一層加速化すると見込まれ、地域差がある。
また医療需要に関しては、全国の二次医療圏のほぼ3割では入院患者数が既にピークを過ぎたとみられ、残り7割では35年までにピークを迎えることが見込まれる。
一方、外来患者数は、都市部を除く7割弱の二次医療圏で20年までにピークアウトしている。在宅医療の患者数は333の二次医療圏のうち、237圏域で40年以降にピークを迎える見通しで、今後は特に85歳以上の需要が増える。
そうした中、病院の病床利用率は14年から23年にかけて一般病床と療養病床を含む全ての類型でおおむね低下する傾向が続いていて、平均在院日数も全類型で減少傾向にある。
また、全国の構想区域ごとに行った手術件数の将来推計では、20-40年に件数が減る見通しの構想区域が、「皮膚・皮下組織」「胸部」など11領域の全てで過半数を占めた。
それらを受けて厚労省は、病院・診療所・訪問看護ステーションの医療提供体制に関する課題として、急性期機能の維持・確保のほかに▽患者の高齢化への対応▽生産年齢人口の減少▽医療資源が特に少ない地方部での対応-を挙げ、26年度の診療報酬改定の方向性を議論する方針を示した。

■医療の地域格差、支払側委員「拡大は確実」
支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は意見交換で、「人口構造や医療ニーズの変化は既に起きていることだが、今後それがさらに進み、地域格差が拡大することは確実だ」と述べ、地域の医療ニーズを過不足なくカバーするため、急性期の医療資源を集約して医療機関の機能を強化することが不可欠だと指摘した。
診療側の池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)は、医療需要の変動が地域の人口規模などによって大きく異なるため、「都市部」「中山間部」などのタイプに分けて診療報酬の見直しによる対応を検討することを提案した。
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