厚生労働省は5日、「創薬力向上のための官民協議会ワーキンググループ」(WG)の議論の整理を公表した。薬価については毎年の改定により日本の医薬品市場が低成長にとどまっていることから、診療報酬改定が行われない年の改定は「廃止すべき」だという意見を盛り込んだ。
診療報酬改定は原則2年ごとに行われているが、改定のない年の薬価はインフレなどの経済動向への配慮や市販後のエビデンスに基づく一定の引上げも考慮される仕組みに見直すべきだという意見もWGで上がった。2027年の薬価改定の枠組みは、25年中に議論して予見可能性を高めるべきだとしている。
医薬品産業の構造改革では、長期収載品に依存するビジネスモデルからの脱却を主張。先発品企業は特許期間中での新薬の売り上げで研究開発投資を回収し、再投資することで新たな革新的新薬の創出を行うとともに、後発医薬品の上市後は後発薬企業に安定供給などの役割を譲った上で、「先発品は原則として市場から撤退することが目指すべき」だとした。
また、長期収載品の段階的な薬価引下げルールや選定療養などの政策効果を分析し、さらなる施策の必要性を検討する必要性も強調。ほかにも、医療上の必要性の高い基礎的医薬品の薬価の下支えとともに、薬価削除や供給中止といった撤退スキームの運用改善をすべきだという意見もあった。
後発医薬品産業に関しては、少量多品目生産といった構造的課題を解決していくための継続的な取り組みが求められる。このため、品質が確保された製品を安定的に市場に供給している後発薬企業が評価され、結果的に優位となるような政策を基本とすべきだとした。
また、結果的に銘柄数の増加につながる後発薬の安易な共同開発について、抑制する政策を検討すべきであり、具体的には同一共同開発グループに属する品目の改定薬価を同一にすることが有効な方策と考えられるという意見も盛り込んだ。
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