【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
急性期病院で医薬品費が増大し、収支状況が悪化する1つの要因になっていることは各方面で報道されている。医薬品費の増大は病院として悩ましいが、社会全体から見ればその恩恵を受ける人もいるわけだし、決してマイナスの要素ばかりではない。ただ、この窮状だからこそ病院薬剤師に活躍してほしいと思い、「薬剤師のための病院経営の教科書」を11月30日に出版し、診療報酬の基礎から実践までを全国で活躍する薬剤師に共著で書いてもらった。ご興味がある方はぜひ手に取っていただきたい。
■高度急性期病院の薬剤師派遣を評価
その中でも取り上げられているが、薬剤業務向上加算は病院薬剤師の不足問題の解決策になり得るし、今後多職種にも展開される可能性があり、注目される。
薬剤業務向上加算は2024年度診療報酬改定で新設され、病棟薬剤業務実施加算1に週1回100点を加算できる。従来の病棟薬剤業務実施加算1が週1回120点であることからすると極めて高い点数設定である。特定機能病院もしくは急性期充実体制加算の届け出医療機関であることが要件で、へき地など薬剤師が不足する地域に高度急性期病院が都道府県と連携して人を派遣することへの評価だ=図表1=。
なお、総合入院体制加算の届け出医療機関は薬剤業務向上加算の対象とされておらず、急性期充実体制加算との格の違いがここに反映されていると捉えるべきだろう。
病棟薬剤業務実施加算は12年度の診療報酬改定で新設され、その後着実に届け出病院数が増加した=図表2=。既に市民権を得た高度急性期病院ならば
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次回配信は12月上旬を予定しています
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