東京都健康長寿医療センターは、ロボットを介して人とつながることで高齢者の孤独感が改善されることを無作為化比較試験で確認したと発表した。ロボット介在型のコミュニケーションが訪問支援や見守り支援だけでは補いきれない日常の孤独を埋める新たなアプローチとなり得ると指摘。高齢者支援や介護予防などの施策に新たな示唆を与える成果だとしている。
村山洋史・研究副部長(テーマリーダー)らの研究チームは、AIや人間のどちらでもない「コミュニケーション」に着目。東京都やその近郊に在住の孤独感が高い独居高齢者68人を対象に、コミュニケーションロボットを使用する介入群(34人)と、使用しない対照群(同)に無作為に割り付けて検証を行った。
その結果、「UCLA孤独感尺度」で測定した孤独感の尺度得点が介入群では41.2点から4週間後には37.4点に3.8点減った。対照群では39.3点から38.9点と、4週間で0.4点の減少だった。
一方、「WHO-5精神的健康状態表」で測定した心理的ウェルビーイングは、介入群が14.5点から16.6点に2.1点増えたのに対し、対照群では14.6点から14.9点と0.3点しか増えなかった。
また、介入群の参加者の自由記述から、▽感情的支えと心理的つながり▽生活リズムの支援▽社会的交流の充実▽認知的・心理的刺激-といった効果が確認された。
同センターでは、「AIでも人間でもない、双方の良さを組み合わせたいつでも気軽にできるコミュニケーションが、孤独感や心理的ウェルビーイングの改善に役立ったと言える」と指摘。特に独居者にとってロボットは自宅で過ごす時間の“話し相手”として機能したとしている。
【関連記事】


