国立がん研究センターなどは、小児がん診療での遺伝子パネル検査(ゲノムプロファイリング検査)の意義や有用性を確認したと発表した。小児がんへのゲノム医療を全国的に提供するための重要な一歩となることが期待されるとしている。
研究は、国立成育医療研究センター小児がんセンターの加藤元博氏や、国立がん研究センターの田尾佳代子氏らの研究グループによるもので、日本小児がん研究グループと共同で実施。ゲノム解析結果が得られたがん患者204人について、エキスパートパネル(専門家会議)で議論し、診断・予後・治療の観点から臨床的意義を評価した。
その結果、204人のうち147人(72%)で診断・予後予測・治療選択のいずれかに役立つ臨床的に有用な所見があった。特に診断補助や予後予測につながるゲノム変化が多く検出され、中でも融合遺伝子などの構造異常がこれらに貢献していた。
また、分子標的薬など治療薬の候補につながる所見が約3割を占めていた。さらに17人に、がんの発症に関わる遺伝的な背景が見つかり、診断や健康管理の参考になる情報となった。
国がんでは、小児がんへのゲノム医療を全国の小児がん診療施設で運用できることが確認されたと指摘。また、今回の研究で蓄積された情報は小児がんの理解をさらに深め、新たな検査や治療の開発につながるとしている。
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