【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
1. 看護必要度の経緯の振り返り
2020年度診療報酬改定の「重症度、医療・看護必要度」の見直しでは、B14「診療・療養上の指示が通じる」またはB 15「危険行動」に該当し、かつ「A1点以上かつB3点以上」の基準を削除し、「手術等の医学的状況」のC項目を手厚く評価した。
その後、22年度改定ではA項目から「心電図モニター」を削除し、「点滴ライン同時3本以上の管理」を「注射薬剤3種類以上の管理」とした。さらに24年度改定では、A項目のうち「救急搬送後の入院」の評価期間を5日から2日に短縮し、急性期一般入院料1の基準からB項目を削除するなどの厳格化が進められた。
これらは、診療密度が高くない高齢者救急は急性期ではなく別の機能の病棟が担うべきだという一貫したメッセージが発せられてきたものと私は感じている。前回も言及したが、それが本当に可能であるかは分からないし、本来は検証してから進むことが望ましいとも考えるが、財源の制約を踏まえると、その方向に進むものかと感じてきた。ただ、内科系の評価が低いことは事実であり、26年度診療報酬改定での是正が議論されている。
2. 26年度改定に向けた内保連の提案
内科系学会社会保険連合は、内科系疾患に関連したA・C項目への追加を提案している=図表1、2=。「入院外来実施率については留意が必要」との記載もあり、その通りであるが、これらの項目を看護必要度に追加すれば、過剰適応という問題が生じる可能性が十分にあるだろう。
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次回配信は2026年1月上旬を予定しています
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