2026年度診療報酬改定の本体改定率がプラス3.09%で決着したことを受け、有識者の受け止めを聞いた。診療報酬改定分析で業界第一人者として定評があるASK梓診療報酬研究所代表取締役の中林梓氏は、本体改定率プラス3.09%は好意的に評価しつつ、「従来の発想とは全く異なる」と語った。【聞き手/八木一平】
26年度診療報酬改定は、これまでの改定の在り方とはかなり様相が異なる。全体の考え方を確認すると、26年度と27年度を分けて設計し、その平均値として改定率を示していることが分かる。これまでのように単年度で改定率を示すやり方とは異なり、2年間を通した設計になっている点は、これまでにない特徴だ。
賃上げ対応も同様だ。賃上げ分プラス1.70%という数字は、単純に一律で引き上げるという意味ではない。ベースアップを実現している医療機関を前提にした措置に加え、前回改定で十分に評価されなかった勤務医以外の医療職分も含めて整理されている。看護職や補助職、事務職では比較的高い賃上げ率が想定される。
物価対応も大きな特徴だ。26年度以降の物価上昇分として年平均0.62%を見込み、その配分を病院に厚くしている点が際立つ。これまでの改定では、物価上昇をここまで正面から整理して点数設計に組み込むことはなかった。
一方で、賃上げや物価対応、過去分の調整、通常改定、適正化といった要素を積み上げた結果、従来の「医科・歯科・調剤それぞれ何%」という見方では把握しづらくなっている。
総論として言えば、3%台の改定率が示されたこと自体は、ここ数回の改定と比べれば大きな水準である。関係各位が努力して積み上げた結果であることは評価できる。ただ、この改定で医療機関が将来にわたって安心して経営できるかと問われると、そこまでは言えない。
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