嫌な仕事を「始められない」神経回路解明
京大
京大は、嫌な仕事の一歩目が踏み出せない状態を引き起こす神経回路をサルの実験で解明したと発表した。うつ病などで見られる自発的な意欲の低下の原因解明や、新しい治療法の開発につながる可能性があるとしている。
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実験は、京大高等研究院ヒト生物学高等研究拠点の雨森賢一主任研究者らの研究グループによるもの。高度な知性を有するマカクザルに、▽ご褒美の水だけが変化する「報酬だけの課題」▽ご褒美の水に加え、顔に風がかかる罰も同時に予告される「嫌な課題」-の2つを訓練し、行動開始の意欲を定量的に調べた。
また、報酬・動機付け・学習などに関わる重要な領域「腹側線条体」と、そこから出力を受け取ってさまざまな脳領域に信号を伝える領域「腹側淡蒼球」を結ぶ神経経路(VS‒VP経路)を、化学遺伝学と呼ばれる手法で選択的に抑制した。
その結果、「報酬だけの課題」では意欲に変化は認められなかった一方、「嫌な課題」ではすぐに始めるようになり、「仕事の一歩目」が出やすくなることが分かった。
これらの結果から、ストレスの高い課題をやらなければいけない時に、VS‒VP経路が、「やろう」と行動を始めるエンジンにブレーキをかける「やる気ブレーキ」として働いていることが示された。また、ご褒美と罰の組み合わせに対する「好き嫌い」や「得か損か」という価値判断や選択そのものは、ほとんど変化しなかった。今回の実験で、VS‒VP経路が嫌な課題に対して行動を始めるブレーキに関わっていることも明らかとなった。
研究グループでは、「VS-VP経路はうつ病や統合失調症の陰性症状などで認められる、自発意欲の強い低下に関わっている可能性が示され、病態理解が今後進むことが期待される」と指摘。また、VS‒VP経路の働きが弱くなりすぎると、本来ならやる気を出してはいけないほどストレスが高い環境でもブレーキがかからず、いわゆるバーンアウト(燃え尽き症候群)につながる可能性もあるとしている。
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