日本医療機能評価機構の産科医療補償制度運営委員会は、制度見直しに関する最終報告書を取りまとめ、昨年12月5日の社会保障審議会医療保険部会に提示した。しかし、見直しの根拠としたデータの信頼性などに納得が得られず、了承は見送られた。制度の見直し案は、今月中旬に開催予定の同部会で再度審議される見通しだ。同委員会の委員を務める木下勝之氏(日本産婦人科医会長)に、最終報告書についての見解や産科医療の現状などを聞いた。【聞き手・松村秀士】
―昨年9月に日本産婦人科医会や日本産科婦人科学会などの関連団体は厚生労働相あてに、一般審査での「在胎週数28週以上」への拡大や補償額の増額などを求める要望書を提出しました。
超未熟性が原因で発症した場合は例外ですが、在胎28週でも未熟性が原因で発症する脳性まひの事例は大変少ないことが分かったので、28週以上まで対象を広げてもよいのではないかというのが、わたしたち産科医と小児科医の立場の考え方でした。
しかし産科医療補償制度の運営委員会では、現行の「在胎週数33週以上」を基準に、脳性まひの発症率を前後の週数ごとで分析していくと、30週より以前は脳性まひの発症率が有意に高く、その理由は未熟性による可能性が高いためであることから、それらの週数を対象から外しました。
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