DPC対象病院に後発医薬品の使用を促す目的で、2014年度診療報酬改定で新設された「後発医薬品係数」。入院中に使用する後発品の数量シェアが6割以上だと係数が最大値になることから、多くの病院が後発品使用を活発化させた。川口市立医療センター(539床、埼玉県川口市)も薬剤の切り替えを進めた結果、3割に満たなかった数量シェアが1年で7割を超え、一気に“トップ集団”への仲間入りを果たした。「川口方式」とも言える独自の手法によるもので、数量シェアは今年4月、ついに8割台に突入した。【佐藤貴彦】
14年度の後発医薬品係数の最大値は0.01544で、189施設が該当した。昨年度は最大値の0.01274を303施設が獲得。最大値が前年度より低いのは、後発品の数量シェアが6割以上の病院の比率が高まったためだ。今年度は最大値になるための数量シェアが7割以上に引き上げられたが、これを870施設がクリア。最大値は0.01058となっている =グラフ= 。
川口市立医療センターは、同係数が14年度は0.00191、昨年度は0.00160で、偏差値にするとそれぞれ37.3と34.5となる。それが16年度は最大値の0.01058となり、偏差値は57.1になった。
突然とも思える偏差値アップだが、14年度に同病院の薬剤部が中心となって着々と進めた取り組みが実を結んだ結果だ。
薬剤部が動き始めたのは、厚生労働省が後発品の数量シェアを評価する方向性を示し始めた13年秋。病院の経営陣から指令を受けてのことだった。
09年にDPC対象病院となった同病院では、高額な薬剤に限れば既に後発品への切り替えを終え、年間8500万円程度のコスト削減を実現していた。
しかし、数量シェアを計算してみると25.3%で、6割には程遠かった。その時点で幾つかの薬剤を切り替えるやリ方も考えられたが、根拠に乏しいと、処方する医師らの納得を得るのは難しい。まずは薬剤の使用状況を分析し、14年度に切り替えを進めることにした。
追跡! 14年度改定後の経営戦略(1)-包括ケア新設で7対1死守
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