【一般社団法人FP&コミュニティ・カフェ代表 内藤眞弓】
「お金なしでは回っていかない」といっても過言ではないのが私たちの日々の暮らし。にもかかわらず、「お金のことは苦手で」と思っている人は案外多いものです。私はファイナンシャルプランナーとして、お金に関する相談を20年以上受けてきました。その経験を踏まえて感じることは、お金にこだわり過ぎず、目先の損得に惑わされないことが「お金上手」への道だということです。
お金は人生を豊かにしてくれる手段の一つ。どのように稼ぎ、どのように使っていくかは、その人の生き方そのものです。「自分はどのように生きていきたいのか」をベースに置きながら、人生とお金について考えていきましょう。
■ライフステージとお金
結婚をする人しない人、子どもを持つ人持たない人、さまざまな巡り合わせの中で人はそれぞれの人生を歩んでいきます。しかし、人生がいかに多様であろうと、ほとんどの人に共通することがあります。それは、働いて収入を得る「現役時代」を経て、主たる収入が年金となる「年金時代」に移行すること。そして、年金時代は現役時代にも匹敵する、長い年月を覚悟しなくてはならないということです=図=。
現役時代が資産形成期だとすれば、年金時代は資産取り崩し期と言えます。年金時代は現役時代よりも収入は低くなりますが、失業やリストラはありませんし、病気になっても年金が減らされることはありません。一方、現役時代は勤務先の業績や転職などで収入が変動したり、病気やケガで収入ダウン、もしくは退職を余儀なくされたりする可能性があります。現役時代の荒波を乗り越え、年金時代の安定飛行へとスムーズに移行できるよう、自分の人生を戦略的に運営していく姿勢が大切です。
図 ライフステージを俯瞰する
■介護職特有のリスクファクター
介護職の特徴としてよく指摘されるのが、賃金の低さと勤続年数の短さです。公益財団法人介護労働安定センターの「2015年度介護労働実態調査」(実態調査)によると、離職者の74.8%が勤続3年未満で、平均勤続年数は5年です。全産業の平均勤続年数が約12年(15年賃金構造基本統計調査)ですから、介護職の短さは際立っています。離職理由の1位は「職場の人間関係に問題があったため」で、「法人や施設・事業所の理念や運営の在り方に不満があったため」がそれに続きます。
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次回配信は5月17日5:00を予定しています
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