【合同会社アグリハート 代表社員 木村佳晶】
■21年度介護報酬改定に向けて
2015年度介護報酬改定では、全体としてマイナス2.27%の改定率だったことを覚えている人も多いのではないだろうか。その影響もあり、18年度介護報酬改定では0.54%増と若干のプラス改定になった。
診療報酬の改定は2年ごと、介護報酬の改定は3年ごとに実施され、18年度は診療報酬と介護報酬の同時改定の年だった。介護報酬全体の流れとしては、(1)地域包括ケアシステムの推進(2)自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現(3)多様な人材の確保と生産性の向上(4)介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保―というポイントが議論された。
これらの議論に基づいて、新たに創設された各種加算の算定状況の把握や、21年度改定に向けた課題の検討がすでに始まっている。
4月の「財政制度等審議会財政制度分科会」では、「大きなリスクは共助、小さなリスクは自助の原則の徹底」をベースに議論が行われており、社会保障費の抜本的な見直しが予定されている。
「保険給付の範囲の在り方の見直し」では、軽度者に対するサービスの見直しなどが議論の俎上に載せられた。要介護度1・2への訪問介護サービスのうち、約半数を占める生活援助型サービスは、「地域の実情に合わせた多様な主体によるサービス提供」を行うことで、「給付の重点化・効率化を進めつつ、質の高いサービスを提供する事が可能」という論点で案がなされている。また、支給限度額の設定や、利用者負担割合の引き上げなども具体的に検討する必要があるとされた。
■18年度改定の経過と21年度改定のポイント
財政審や未来投資会議などの議論から、21年度改定の傾向が見えてくる。社会保障審議会介護保険部会では、第8期介護保険事業計画について、以下の5つの横断的な議論が始まっている。
1.介護予防・健康づくりの推進(健康寿命の延伸)
2.保険者機能の強化(地域保険としての地域の繋がり機能・マネジメント機能の強化)
3.地域包括ケアシステムの推進(多様なニーズに対応した介護の提供・整備)
4.認知症「共生」・「予防」の推進
5.持続可能な制度の再構築・介護現場の革新
21年度改定で影響を受けそうな、小規模の事業者に目を向けたい。
(残り2431字 / 全3401字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】