連載第1回の「社会福祉法人のこれから」では、「社会福祉法人連携推進法人」(仮称)制度の創設に向けたこれまでの背景を整理した。今回は、新たな連携推進法人がどのような役割を担うのか、厚生労働省が10月の検討会で示した案を整理し、その議論について紹介する。【齋藤栄子】
おさらいになるが、連携推進法人の組織は、社員(参加法人)の中には区分を設けず、社員は2以上とし、そのうち「社会福祉法人が1以上であることを必須」とした。原則として社員は各1個の議決権を有するとの考えで、それぞれの法人規模に影響を受けない。地域の意見を反映させるため、連携推進法人内に評議会を設置して、地域関係者の意見を聞くことも案の中に盛り込まれた。参考とする医療の連携推進法人は、一般社団法人の税制が適用されていて、一定の要件を満たせば非営利型法人として非課税(収益事業のみ課税)になる。社会福祉法人連携推進法人における取り扱いは、「税務当局と調整中」だ。
検討会で課題とされたのは、貸付の取り扱いだった。厚労省は「連携法人の活用例」の一つに、「社会福祉法人への貸付等」を挙げた=資料1=。医療の連携推進法人においては、社員である医療法人から地域医療連携推進法人への資金の貸付は、「余剰金の配当にならない範囲で、法人の目的に合致している範囲内で実施可能」であるが、社会福祉法人の場合は、法人外への支出が制度上、認められていない。
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