9月下旬、厚生労働省は、公立・公的病院等のうち424病院が、「再編統合」を含めて地域での役割を抜本的に見直す必要があるという集計結果をまとめ、話題となった。これは、果たして一部だけの問題か-。
以前、2040年に必要な病院は4000程度になると発言していた日本病院会の相澤孝夫会長(社会医療法人財団慈泉会理事長)に、今後、日本の医療体制はどのような姿を目指すべきなのか聞いた。【大戸豊】
医療機能の抜本的見直し、424病院が対象
■高齢者の医療は、生活圏で完結すべき
-40年に必要な病院数は4000くらいという。
国土交通白書にある試算※1を基に全人口で割っただけ。約2.7万人に対し、1つの病院とすれば、約4400病院という計算になる。
-その内訳は。病床も減るのでは。
600床程度の広域・基幹型の急性期病院が400、150床程度の地域密着型の病院が4000病院くらいだと思っている。合計すると84万床だ。
国は25年時点の必要病床数を示しているが、高度急性期から回復期までなら90.6万床(高度急性期13万床、急性期40.1万床、回復期37.5万床)※2。それとあまり違わない。
※1 国土交通白書(平成26年)第2章「人口減少が地方のまち・生活に与える影響」では、市町村に一般病院が 80%以上の確率で立地するには、2万7500人以上の人口規模が必要としている。
※2 医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会「2025年の医療機能別必要病床数の推計結果(全国ベースの積上げ)」
-厚労省は9月下旬、公立・公的病院等が運営する424病院を「再編統合」を含め、見直すべきという分析結果を示した。
「がんの治療をしていない、心筋梗塞に対応していない病院だから、身の振り方を考えなさい」というふうに映った。
病院の機能を整理した上で、その機能をどこが引き継ぐかが議論になるのだろうが、もっと重要なのは、基幹型の病院と地域密着型の病院との間で、役割を分担することだろう。
そのためには、地域で役割分担と協働を進める“絵姿”が必要になるが、地方行政が非常に厳しい中、モデルを示すのは国の仕事だ。その上で、地域でどうすべきか話し合えばいい。
そこを明確にしなければ、経営不安が起こる。
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